迷子になったら、見知らぬおばちゃんからお金をもらった話
こんにちは。キング・ブログ・スライムです。
題名からして全く意味不明ですが、そういうことです(笑)。
順々に説明していきますので、しばしお付き合いください。
前回と同様、今回も浪人生時代の話。
わたくしキング・ブログ・スライムは、予備校に通ってまじめに勉強してきたはずですが、世の中そんなに甘いわけはなく、第一志望に落ちてしまいます。
当時は「第一志望しか行かない!」とカッコつけていたため、他のマトモな大学は併願していませんでした。
上手くいけばそれでよかったのですが、受験に失敗した場合は行く大学がなくなってしまいます。
結果、併願で行きたい大学もなく、絶望にうちひしがれていました(笑)。
浪人生や受験生によくある話ですが、受験生というのは、抑圧され続けたストレスが原因なのか、突然に頭がおかしくなって意味不明な行動をしてしまうそうです。
当時の私も同様で、何を思ったのか突然、「潮岬に行こう!」と閃いて、その2時間後には道具一式を準備していました。
※勉強不足で第一志望に落ちたくせに、遊びの準備だけは早い
何をしに行ったかというと、、、天体観測。
「?」ですね。
潮岬に天体観測に行くという発想自体がバカですが、やりたかったのでやってみたという感じ。
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私は当時、地元である大阪に住んでいたので潮岬までは遠く、各駅停車だけでは日が暮れる時間に間に合わないと踏んで、特急に乗って行くことに。
大阪駅から特急「くろしお」に揺られること数時間。潮岬に到着しました。
潮岬は「本州最南端の地」として有名です。
だからといって何かあるという訳ではなく、駅前には大したものはありませんでした。
潮岬は有名な観光地ではなく、目立った土産もありません。
先に準備ということで、駅周辺のスーパーでおにぎりやパン、お茶を買いだめしました。
さて楽しく出発!のはずでしたが、まだ3月の下旬だったので予想以上に日が短く、その上に目的地である無料のキャンプ場までは歩いて1時間近くかかることが判明、、、
大きな国道沿いを一人で歩いていくものの、辺りは真っ暗。
その上に全く知らない土地で、地図もない。あるのはネットにつながらないガラケーで撮った地図が2,3枚だけ。
だんだんと不安になってきました。
※当時はガラケーだったので、パソコンの画面をカメラで撮るという荒業しか知りませんでした(笑)。
「えーい。聞いてしまえ」
と思った私は、近くを歩いていたおばちゃんに「キャンプ場はどうやって行けばいいですか?」と聞いてみました。
おばちゃん「遠いよ。歩いて行ける場所じゃないよ」
私「マジですか、、」
おばあちゃん「こっちに行けばいいよ。ついてき~」
頼るものがない私は、おばちゃんについていくことに。
おばちゃん「何でこんなところに来たん?」
私「分かりません。受験に落ちてしまって、、、」
おばちゃん「1年や2年ぐらい大したことないわ」
などと色々と世間話をしました。
そのおばちゃんには当時の私と同年代の知り合いがいたそうで、その人は3浪して医学部に行ったと言っていました。
おばあちゃん曰く、人生いろいろだと。
しばらく世間話をした後、、、
おばちゃん「先遠いから、車で送ってあげるわ」
私「ホントですか!ありがとうございます!」
おばちゃんは近所のおじさんにお願いして、車を出してもらえないか頼んでくれました。感謝です
おじさんは「いいで!」と快諾してくれ、目的のキャンプ場まで送ってくれました。
ここまでで既に「いたせりつくせり」です。
さて車に乗って10分ほどで目的のキャンプ場に到着しました。
私が車を降りて礼を言った後、近寄ってきたおばちゃんに「がんばりや」といって何か紙のようなものを手渡されました。
私は「何ですが?」と聞きましたが、おばちゃんは「大したものではない」と言いました。
人の好意なので、「ありがとうございます」と素直に受け入れることに。
車が去った後、周囲は真っ暗でした。
私は渡されたくしゃくしゃの紙が何なのか全くわからず、近くの自販機の近くで正体を突き止めることに。
私「、、、」
何と、、1万円ではありませんか!
私「マジですか、、、。そしてそんなにいらないです汗」
嬉しいという気持ちよりも、先んじて湧き上がってくるのは恐縮の気持ち。
見知らぬ学生の私をご丁寧にキャンプ場まで送ってくれた上、お小遣いにと1万円くれるなんて、、、
確かにお金のない学生にとって1万円は天からの恵みです。素直に嬉しいです。
しかしそれ以上に、受験で心がボロボロになった私には、遠く離れた潮岬のキャンプ場で”人の心の温かさ”を感じられたことが嬉しかったです。
捨てる神あれば、拾う神あり。
とはまさにこのことだなあと痛感しました。
話はここで終わりです。めでたしめでたし!
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と言いたいところですが、まだ続きがあります。
その後、キャンプ場で一人になった私は当初の目的を果たそうと目論んでいました。
そうです。寝そべってきれいな星を見るのです!(笑)
天気予報によると、潮岬の気温は10℃。
私「コートを着込んでブルーシートに寝そべれば、寒くないやろ」
残念ながら予想とは全く違ってメチャクチャ寒い。
まず一つ目に、海のそばのキャンプ場なので、尋常じゃないくらい風が強いのです。常に台風の暴風域にいるような感じ。
そして二つ目に、天気予報では10℃でも、地表面はもっと気温が低いことです。
夜になれば放射冷却で地面がメチャクチャ冷え、真冬のような寒さに。「これは10℃ではない!寒すぎる、、」と気付いたころには遅かったです。
星はきれいやけど寒すぎて寝れないし、付近には風よけの施設もない。
「何でこんなところ来たんや(怒)」
と叫びたかったですが、自分の負けを認めることになるので口が裂けても言えません。
寒くて寝れなかったので、体を動かすこともかねて、深夜1時くらいまで付近を散策していました。
疲れたので小さなコンクリートのショップの近くのベンチに座ってウトウトしていました。
すると、、後ろから「ドン」という音が。
家主のおじさんです(おじさんというには若いし、お兄さんというには無理な年齢という感じ)。
家主のおじさん「何してんの?」
私「、、、野宿です」
家主のおじさん「寒いやろ?テントは?」
私「テントはないです、、風が強くて死にそうです、、」
家主のおじさん「テントかしたるわ」
私「マジですか」
その時、家主のおじさんは神に見えました。
おじさんは早速家の奥からテントを引っ張り出し、私のためにテントを準備してくれました。
いろいろ話しているうちに、そのおじさんは私の地元の近く(北大阪)に以前住んでいたことが発覚。地元トークがさく裂しました。
寒くて何を話したのかすらおぼろげですが、はっきりと覚えているのはそのおじさんの好意。
気さくに言い放った「テント貸したるわ」という言葉は、今でも私の脳裏に焼き付いています。
話が終わった後、私はテントに潜り込んで速攻で寝ました。
旅の疲れと寒さのストレスで体が限界でした。
翌日、おじさんに丁寧にお礼を言ってキャンプ場を後にしました。
旅自体に特別楽しかったことがあったわけではありません。
しかし、人の温かみに触れられたこと。見知らぬ学生に1万円のおこずかいを与えたおばさん。店の前にいた見知らぬ男の子にテントを貸してあげたおじさん。
こんな体験は、今後滅多にできないでしょう。
捨てる神あれば、拾う神あり。
そんなことを物思いに感じながら、海際にある見晴らしの良い高台から潮岬の朝焼けを眺めていました。
今頃、あの人たちはどうしているのだろう。
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