「夕立」と「ゲリラ豪雨」の違いって?
こんにちは。
最近、「夕立」という言葉をあまり耳にしません。気のせいでしょうか。
その代わりに出てきたのが、「ゲリラ豪雨」という、なんとも風情のない言葉です。
テレビのニュースでよく
「明日は大気が不安定になり、東海から北日本にかけて広い範囲でゲリラ豪雨などの集中豪雨の恐れがあります。河川の増水にはお気を付けください」
などと聞くと
「それを夕立っていうの!笑」
って心の中でいつも文句を言ってます。
だってそうじゃないですか。
夕立ったら夕立です。夕立。
清少納言が夏について
「雨などふるもをかし」
って言ってましたが、それは「夕立」です。「ゲリラ豪雨」なんて全然、をかしくない。
ということで、ゲリラ豪雨と夕立には差があるのかについて、調べました。
夕立とは
「夕立」と言われて、皆さんはどのような印象を持ちますか?
私の場合は
セミが鳴いてて、夏の暑い夕方で、モクモクと大きな入道雲がそびえたっていて、突然空が真っ暗になって、土砂降りの雨が降って、、、
のようなイメージを持っています。
そうそう、こんな感じです。いいですね、キンキンに冷えたスイカが食べたくなります。
実は、「夕立」は、気象用語ではあまり使われません。
「(主に夏の)午後に降る、短期的・集中的な雨」を表現したい時は、正確な気象用語では「豪雨」とか、「にわか雨」を用います。
どちらかというと、「夕立」は口語的・文学的な表現です。
何となく「夕立」という言葉には、夏の趣や風情といったプラスイメージが連想されるのはそのためです。
一方、その雨が災害につながる可能性のある際は、「豪雨」と表現します。
そのため、「夕立によって河川が増水し、川で遊んでいた子供数人が川の中島に取り残された」
とは言いません。
「集中豪雨によって河川が増水し、川で遊んでいた子供数人が川の中島に取り残された」のほうが適切です。
ゲリラ豪雨とは
さて、では「ゲリラ豪雨」とはどのような豪雨のことを指すのでしょうか。
ゲリラ豪雨という言葉は、最近になって市民権を得た言葉です。
2008年にユーキャンの流行語大賞候補にノミネートされたころから、広く使われるようになりました。
やはり、この言葉を使い始めたのは、マスコミです。
気象用語に「ゲリラ豪雨」という言葉はありませんし、気象庁は使っていません。
まず「ゲリラ」とは、『ゲリラ戦(遊撃戦)と呼ばれる不正規戦闘を行う民兵またはその組織』(引用:ゲリラ-wikipedia)
のことを指します。
ゲリラは一般人と同じ格好をしていて、また突然木の茂み等から突然現れるため、どこにいてどこから出現するかなど予測がつきません。
「ゲリラ豪雨」は、ごく狭い範囲に短時間で集中豪雨を降らせます。
そのため、従来の観測方法では、ごく狭い範囲に雨を降らせる積乱雲を観測し、発生場所や進路などを予想することは難しいとされています。
この集中豪雨の難予測性を「ゲリラ」という言葉で表現し、「ゲリラ豪雨」という造語ができたといわれています。
そして最近では、都市部でのヒートアイランド現象や、地球温暖化による平均気温上昇により、都市部の平均気温が上昇しているます。
気温が上がれば、上昇気流が発生しやすくなり、「ゲリラ豪雨」を降らせる入道雲も成長しやすくなります。
実際、「ゲリラ豪雨」の発生数も増加傾向にあります。
1998年から2007年まで、1時間降水量が80mm以上の豪雨の年間発生数(ゲリラ豪雨のこと)は18、5回でした。
一方、20年前は10,3回と約半分です。
(参考:住まいのゲリラ豪雨対策-住まいるiタウン)
両者の違い
雨が降るメカニズムは、どちらも同じです。
どちらも、地上が太陽の熱で暖められて発生した上昇気流により、大きな入道雲(積乱雲)が生まれ、それが雨を降らせる原因になるわけです。
しかし、「ゲリラ豪雨」はより狭い範囲で発生し、短時間に集中的な降水をもたらすといえます。
また、「夕立」は災害を連想させないのに対して、「ゲリラ豪雨」は災害につながる恐れがあります。
私の中では、ほとんど同じものかと思っていましたが、実際に「ゲリラ豪雨」に代表される集中豪雨が増えていることや、夕立は口語的・文学的表現だと知って、両者の明確な違いが分かりました。
ではでは、、、
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