≪図解≫レント(地代)と政治経済学について分かりやすく解説しました
こんにちは。キング・ブログ・スライムです。
今回は政治経済ネタを取り扱おうと思います。レポートの一部を加筆修正したものです。
※内容の正誤については十分精査していますが、責任は問いかねます。ご注意ください。
今回はこんな内容
0.レントの定義
レント(rent)は英語の意味通り、本来は「地代」を意味していた。
しかし現在の経済学では、より広義の意味で用いられ、価格から支払われるべき価格を引いたものとして定義される。つまり、、
「レント=総収入―可変費用」
として定義される。
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1.短期市場でのレント
短期市場では、工場の償却費などの固定費が存在するため、固定費を含んだ1単位当たりのコストであるAC曲線と、固定費を考慮しないAVC曲線が存在することになる。
P=MC曲線、AC曲線、AVC曲線をそれぞれ図示すると、以下の通り(図1)になる。
また、総収入はP₁×Q₁であり、可変費用はP₃×Q₁であるから、レントは「P₁×Q₁-P₃×Q₁」で表される。
図で表すと、以下の赤線で囲った面積がレントである(図2)。
3.長期市場でのレント
長期市場では、短期市場で固定費用として計算されていた工場の建設費なども変動費として扱われる。そのため、すべての費用が変動費として考えられるため、費用曲線はAC曲線に統合される。
また、長期の完全競争市場であるため、新規企業の参入が可能であり、価格競争・効率化が進んだ結果、均衡価格(P₁)は平均費用(AC)の最も低い値と同じになる。その時の均衡数量がQ₁である。
それを示したのが下の図3である。
市場価格がACと同じであるため、どれだけ生産しても利益を生み出すことができず、結果的に利潤は0になる。
要するに、新規企業が参入するほどの期間がない短期市場では、固定費用に値する設備・資本を持つ企業がその利益(レント)を独占的に得ることができるが、新規参入が自由である長期市場になると、新規の工場建設や設備の導入が可能になるため、競争が進んで結果的に市場全体として利益を生むことができなくなるということである。
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4.加筆分
<需給の関係とレント>
企業が利潤を最大化させるのは、P=MC(限界費用)の時であり、P=S(供給曲線)であるから、供給曲線と限界費用曲線が一致する。
つまり完全競争市場での需要と供給の関係でもレントを図示することができる。
完全競争市場での需要曲線と供給曲線の関係でレントを図示すると、以下の通りになる。(図4)
<関税とレント>
また、レントとは、「正常な水準を上回る受け取り」である。
正常な水準とは、完全競争市場における収入のことであり、レントとは、何らかの理由により完全競争市場でないために、正常値以上に受け取った収入のことを指す。
そのような収入(=レント)が生じる場合は2つあり、1つは他企業が追随できないほどある企業が優れている場合。2つ目は市場を経由しないがゆえに、その希少性が人為的に作り出される場合である。その最たる例の一つが「関税」である。
※参考文献:レントと政治経済学、第4,5項
関税を課した場合
関税を課すのは国内産業が海外のそれに比べて幼稚である場合が多いので、今回は国内産業が海外に比べて弱いという前提で考える。
P*が関税のない国際価格であり、Ptが関税を課した後の国内価格である。
状況を図示したのが以下の図5である。
本来ならば生産者余剰、つまりレントは青い三角形の面積になるはずだが、関税をかけたことで赤色の三角形の面積となり、レントが増大したことが読み取れる。
参考文献を紹介しておきます
下の参考文献はこのレポートを書く際に参考にしたものです。ぜひ読んでみて下さい。
1.レントと政治経済学
2. レント、レント・シーキング、経済開発―新しい政治経済学の視点から
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ではでは、、、
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