【保存版】中央特快が吉祥寺に停車しない(止まらない)理由とは?
今回はこんな内容
吉祥寺に停まらない理由1(中央特快は遠方客用を乗せるため)
JR東日本八王子支社によると、「多摩エリアのお客様を都心に速く到着させるためです」という。特別快速は、西側から見ると立川まではすべて停車するものの、そこから東京方面へは国分寺・三鷹・中野と停車していく。三鷹まで「快速」で集めた乗客を、三鷹で特別快速に乗り継がせることで、都心へと速く到着させるようなダイヤになっている。
(吉祥寺になぜ「中央特快」が停まらないのか―東洋経済オンラインより一部抜粋)
中央特快は、八王子や立川、国分寺などの都心から離れた多摩地域と都心を素早く結ぶために設定された車種だと言えます。
これは遠方客と近距離客の利用する電車を分離させる「遠近分離」という考えに基づいています。
中央特快と快速でどれだけ所要時間が違うのか?具体的に考えてみます。
例えば立川から新宿まで行くとすると、快速では約40分(平日の12時台)ですが、中央特快では約25分で新宿に着くことができます。
中央特快を利用すれば、快速で行くよりも15分早く新宿に着くことができます。全然所要時間が違いますね。
一方、吉祥寺は多摩エリアと都心エリアの中間に位置していて、都心からは比較的近いです。実際、快速を利用して吉祥寺ー新宿間はたった15分(平日の12時台)です。
仮に中央特快を吉祥寺に停めたとしても、2,3分程度しか所要時間を削減できません。
つまり、吉祥寺は既に都心に近いので、特快と快速に所要時間の差がほとんど発生せず、JR東日本は中央特快を止める必要はないと判断したのでしょう。
ざっくりいうと‥‥
JR:「吉祥寺は都心まで近いので、快速を使ってください。中央特快は必要ないでしょう」
ということです。
一つ目はJR公認の理由でしたが、これから紹介する二つ目の理由はあからさまには認められません。
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吉祥寺に停まらない理由2(井の頭線に客を取られたくない)
二つ目の理由として考えられるのが、京王井の頭線対策です。
吉祥寺に特快を停車させると、多摩方面から渋谷に行く乗客を、京王井の頭線に根こそぎ持っていかれる恐れがあるからです。
下で詳細な計算をしますが、吉祥寺で井の頭線に客を奪われた場合、JRは一人当たり234円の損失を出すことになります。
京王井の頭線 吉祥寺駅の様子
井の頭線は吉祥寺から渋谷までを結んだ路線で、急行に乗れば約18分で吉祥寺から渋谷に行くことができます。
今の停車駅で考えると、例えば立川から渋谷に行きたい場合は
①中央特快で新宿まで出てから、山手線などで渋谷に行く(立川―新宿―渋谷)
②中央特快で三鷹まで出て、中央線快速に乗り換えて次の吉祥寺で降りる。その後、井の頭線で渋谷まで向かう(立川―三鷹―吉祥寺―渋谷)
という二つのルートが考えられます。
それぞれのルートを図で示した
京王井の頭線を使う②のルートは、乗り換えが二回もあって面倒です。
一方、JRだけに乗っていく①のルートは乗り換えが少なく済みます。
さて、①と②のそれぞれの利点について、「料金」「乗り換え回数」「速達性」の三点でまとめて表にしました。
① | ② | |
料金 | 高 | 安 |
乗り換え回数 | 1 | 2 |
速達性 | 早 | 遅 |
※赤色が有利である方
現在は、①のルートが2勝1敗で優勢ですね。
しかし、仮に中央特快が吉祥寺に停まるとすると、、
②の乗り換え回数が1回となり、速達性の差がほぼ同じになります。つまり下の表のようになります。
① | ② | |
料金 | 高 | 安 |
乗り換え回数 | 1 | 1 |
速達性 | 早 | 早 |
②のルートが1勝0敗2分けで勝利!
そのため、仮に中央特快が吉祥寺に停まることになると、渋谷に行きたい人の大半が京王井の頭線に乗り換えてしまいます。
多摩地域から渋谷に向かう人は、かなりの数がいると思われます。JRとしては、仮にこれらの客を全て井の頭線に奪われるとなると、大きな損失となります。
JRの儲け
立川―渋谷 550円
立川―吉祥寺 216円 (吉祥寺―渋谷間は京王井の頭線利用で、195円)
吉祥寺で井の頭線に客を奪われた場合、JRは一人当たり234円の損失ですから、中央特快を停車させたくありません。
一方、京王井の頭線はウハウハですね(笑)。
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吉祥寺に停まらない理由3(三鷹と吉祥寺に連続停車は速達列車として許せない)
三つ目の理由としては、隣駅の三鷹は中央特快の停車駅であり、吉祥寺に中央特快を停めると、吉祥寺と三鷹に連続で停車することになるためです。
速達列車が連続で停車しては利用者として不満ですし、速達性が売りである特快の所要時間が伸びてしまいます。
三鷹駅前の様子
「じゃあ、三鷹駅ではなく、規模の大きい吉祥寺駅に中央特快を停めた方が合理的では?」と思う人もいるかもしれませんが、それは運行上難しいです。
というのも、三鷹駅は2面4線構造(ホームが4つあるということ)になっていて、快速や各停が中央特快を待ち合わせて、お客を交換するという役割を担っています。
中央特快から降りた客が各駅停車や快速に乗り換え、各駅停車や快速に乗っていたお客が中央特快に乗り換えるわけです。
一方、吉祥寺駅は1面2線構造(ホームが2つしかないということです)で、各停や快速が駅で待ち合わせることができず、乗客の交換はできません。
吉祥寺駅は規模自体では、三鷹駅より明らかに大きいものの、乗客の交換ができる構造ではありません。交換ができるのは、吉祥寺駅周辺では三鷹駅だけです。
乗客を交換するためには三鷹駅に停車させる必要があり、一方で吉祥寺に団子停車させるのは運行上好ましくないので、結局、三鷹駅のみに停車させることになります。
まとめ
中央特快が吉祥寺に停まらない理由は、「中央特快は遠距離客向けであるから」と「井の頭線に客を奪われたくない」、「三鷹と吉祥寺に連続停車させることは速達列車として許されない」、という3つの理由がありました。
私の様に、通勤・通学の際に中央特快を使っている方は、吉祥寺に停まらない理由を知っておくと、友達や家族との話のネタになるかもしれません。
また、普段は中央線を利用しない方こそ、このことを知っておいてください。理由は知らなくてもいいですから、中央特快は吉祥寺には停車しない!ということだけは知っておいてください。
これを知っているだけで、「吉祥寺に行きたくて、新宿から中央特快のったけど、吉祥寺停まらないの、、、遅刻だ泣」の様な惨事は経験しなくて済みます。
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昔、吉祥寺の便を良くするために吉祥寺に車庫を作る計画がありました。
しかし、吉祥寺地区から反対され、仕方なく三鷹に車庫を作り、そこに駅を作りったそうです。
中央線複々線化の際に、特快と快速の乗り換えのためのホームの増設が、やはり地元の反対で実現しなかったのが大きいようです。
つまり、吉祥寺に特快が停まらないのは吉祥寺の住人がそれを望んだから。というのが真実のようです。
貴重なご指摘ありがとうございます。
特快停車を拒否するなんて何とも吉祥寺らしいですね(笑)
正直、昔聞いた話なので証拠がなかなか見つかりません。
JRとしても中野から三鷹は長すぎるので荻窪か吉祥寺にホームを増設できればと思っているのではないでしょうか?
地元がホームの増設用の土地を提供すれば特快停車も実現するのではないでしょうか。