【南岸低気圧】東京で雪が降る条件・メカニズムを解説します
雪がうっすら積もるJR中央線
こんにちは。
キング・ブログ・スライムです。
【2019/02/08】追記
現在、東京など首都圏では、南岸低気圧が近づいていて雪の予報が出ています。
普段は雪が雨かで論争になりますが、今回はほぼ雪で間違いなさそうです。
都心でも5cmの降雪が予想されています。明日の遠出は控えるか、余裕を持って行動するか、家の近くで雪遊びするのが良いでしょう。
毎年冬になると関東地方で心配されるのは、大雪によって電車や交通機関がマヒし、日常生活に大ダメージが及ぶこと。
記憶に新しいのは2014年2月、わずか数日の間に2回もやってきた大雪でしょう。東京では20cm以上の積雪を観測し、山梨では一晩で1m以上の積雪があって数日間は陸の孤島となりました。
日本各地で降る氷の結晶は全て「雪」として一括りに説明されますが、実は、東京など太平洋側で降る雪と、新潟など日本海側で降る雪では、根本的なメカニズムが違うんです。
今回は、東京で雪が降る原因と条件を解説していこうと思います。
今回の記事を要約!
・東京で雪が降るのは冬型の気圧配置の時ではなく、南岸低気圧がやってきたとき
・南岸低気圧とは、本州の南側を通過する低気圧のこと
・南岸低気圧が東京の近くを通ると雨になり、逆に遠すぎると曇りで終わる。南岸低気圧が程よい距離を通った時しか雪が降りません
・”東京の雪”は判断材料が多く、雪か雨かの予想が最難関レベルで難しい
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今回はこんな内容
冬型の気圧配置であっても、東京では雪は降らない
冬型の気圧配置のイメージ図
一般的に雪が降る条件として挙げられるのは、「冬型の気圧配置」です。
冬型の気圧配置とは、西に高気圧があり東に低気圧がある「西高東低」のことで、日本列島に強力な寒気が流れ込み、全国で気温が一気に下がります。
俗にいう”冬将軍”というヤツですね。
冬型の気圧配置になると、新潟や秋田、福井といった日本海側の地域では大雪となります。
そして、日本海側で雪を降らせた雪雲は、水分を失いながら脊梁山脈を越えて、太平洋側(東京)に流れ込んできます。
東京に流れ込んできた雪雲(乾燥した空気)は、雪のもとになる水分をほとんど失っているので、東京で雪を降らせることはできません。
東京に流れこむのは乾燥風。雪は降りません
そのため東京では、冬型の気圧配置でどれだけ寒くても、雪が降ることはほとんどありません。
ここが全国的に珍しいんですよね。同じ大都市の大阪や名古屋で雪が降るのは、冬型の気圧配置になったときが多いんです。
東京で雪が降る原因は、「南岸低気圧」
上で説明した通り、冬将軍の典型である冬型の気圧配置になっても、東京で雪が降ることはありません。
ではどんな場合に東京で雪が降り積もるのでしょうか?
それは南岸低気圧がやってきた場合です。
東京で雪が降る原因は、ほぼ100%が南岸低気圧の仕業といっても過言ではありません。つまり、、、
東京の雪=南岸低気圧のせい
と考えてください。某JR東日本さんの言葉を借りれば、「全部、南岸低気圧のせいだ」というわけです(笑)。
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南岸低気圧とは?
「南岸低気圧」という言葉は、最近ではテレビでも時々取り上げられているので、聞いたことがある人はいると思います。
南岸低気圧とは、その名の通り、東京の「南岸」を通る「低気圧」のことです。
実際の天気図を見てみましょう。
2014年2月に東京で二度大雪がありましたが、その後半(2月14日)の天気図を紹介します。
(引用元サイト:実況天気図(2014年02月14日)―tenki.jp)
四国の南の太平洋側にあって前線を伴っている”1004hPa”と書かれた低気圧が南岸低気圧です。
これが太平洋側を縦断することで(下の写真の赤色の矢印のコース)、東京に雪をもたらします。
南岸低気圧がどこを通るかがポイント
南岸低気圧が東京近くにやってくると100%雪になる、ということは決してありません。
南岸低気圧の嫌われていてかつ面白くもある点は、通過場所などの条件によって、雪なのか雨なのか降るものが変わってくること。
これは”天気予報士泣かせ”と呼ばれるほど、予報が難しいと言われています。
予報が難しいものの一つに低気圧の位置があります。
南岸低気圧は、「南岸」という言葉からわかる通り、日本の南で発生したものであり、その性質上、暖気を伴っています(暖かいということ)。
つまり、南岸低気圧が東京に近いところを通ると、暖気も一緒に持ってくるので、東京周辺の気温が高くなってしまい、雪ではなく雨が降ります。
一方、遠いところを通ると、次は水分の供給源が少なくなってしまい、雪どころか雨すら降らずに、曇りのまま終わってしまいます。
よって、東京で雪が降るためには、南岸低気圧が「東京からちょうどいい距離」を通ることが重要です。
要するにツンデレなんです(笑)
その「ちょうどいい位置」が伊豆諸島の八丈島付近です。
つまり、南岸低気圧が八丈島付近を上手く通れば、雪が降る確率が高くなります。逆に八丈島より近いと雨になる確率が高くなり、これよりも遠すぎると雪すら降らない可能性が高まります。
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東北沖からくる寒気が雨を雪に変える
東京で大雪となるイメージ図
低気圧が関東地方に近づいてくると、「水分」を持ってくるだけでなく、東北沖から寒気を引き寄せてきます。
下は自作の図です(きれいな図ではありませんがご了承を、、、)。大陸の高気圧だけでなく、東北沖から寒気(青色の矢印)を引き寄せているのが分かりますね。
この「寒気」が低気圧の「水分」と結託して、関東地方に大雪をもたらします。
東京の降雪を判別する
さて、東京で雪が降る大まかな条件は説明しました。
ただし、”天気予報士泣かせ”の異名を持つ南岸低気圧ですから、簡単な条件で簡単に予想できるものではありません。
下では、東京の雨雪を判断するとき、素人でも分かりやすい基準を2つ掲載しました。
条件① 地上の気温が2℃以下
NHKニュースより引用し、作成した表
NHKのテレビニュースを図として打ち直しました。
下は、2013年~2016年までの4年間に、東京で降った雪・みぞれ・雨の割合です。
データを見ると、気温が2.0℃以上の時は雨の確率が高く、2.0度未満だと反対に雪が降る可能性が高くなります。
東京で雪が降るかどうかの基準は、地表面の気温が2℃以下であることが境目だといえます。
条件② 上空1500mの気温がー3℃以下
雪を判断する際には、上空の寒気の強さが重要です。
日本海側の雪予想の大原則として、「上空1500mの気温がー6℃以下」があります。
しかし、関東地方の雪の場合は、東北沖から引き寄せられた寒気が関東地方に滑り込んで、地表付近の気温が低くなるため、上空の寒気が少し弱くても降雪の可能性があります。
それを換算すると、「上空1500mの気温がー3℃以下」が東京で降雪する条件の一つとなります。
東京で雪が降る条件(判別式)
① 地表面の気温が2℃以下であること
② 上空1500mの気温がー3℃以下
まとめ
東京で雪が降る原因は「南岸低気圧」。
そしてその条件は「南岸低気圧が八丈島周辺を通ること」でした。
他にも上空の気温や、地表面の気温など様々な要素があります。
東京で雪が降った場合は、ほぼ確実に電車が遅れるので、早めに家を出るなど対策をとってください。
ではでは!
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